近年、「YoutubeなどのSNSでPR動画がバズり、お客様が増えた」という事例をよく聞くようになりました。
ご当地観光PR動画が人気とあれば、導入をご検討中の企業様も多いのではないでしょうか?
PR動画を活用すれば、顧客と良好な関係を築くきっかけを作り、ファンとなった顧客から商品を買ってもらいやすくなるといった効果もあります。
そのため企業PR動画は、直接的なプロモーションにならなくても、結果的に事業戦略において非常に重要な役割を担うのです。
この記事では、PR動画を利用する目的やメリット、話題を呼ぶ動画を制作するポイントをご紹介しております。PR動画の成功事例も掲載しておりますので、企業がどのようにを活かすことができるのか、参考にして頂ければ幸いです。
それでは、そもそもPRとはなにか、そしてPR動画を制作する意味・目的について確認していきましょう。
コンテンツ
PR動画を制作する目的
そもそもPRとは、どんな活動を指すのでしょうか。
PRとは、パブリックリレーションズ(Public Relations)の略です。日本PR協会によると、下記のように定義されています。
パブリックリレーションズ(Public Relations)とは、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方、および行動のあり方である
参考:https://prsj.or.jp/aboutpr/
このように、よくPR=プロモーション(Promotion)と混同されることもありますが、実は全くの別物なのです。確かに、自分たちを知ってもらうことが間接的に売上につながることもあります。
しかし、本来PR動画を制作する目的は、「企業活動と社会をつなげること(パブリックリレーションズであること)」にあります。
そのため、ただPR動画がバズって拡散され、認知されるだけでは意味がないのです。
PR動画で重要なのは、社会に対するメッセージを打ち出すこと。
自分たちは何を大事にして、どのような考えで企業を経営しているのか。PR動画を利用して、こうしたメッセージに共感するユーザーを作り出すことが、重要なのです。
では、PR動画を利用すると具体的にどのようなメリットがあるのか、確認していきましょう。
企業が導入するメリットや効果
ここでは、PR動画が企業にもたらすメリットをご紹介します。
なぜPR動画が人気なのか。その理由を確認していきましょう。
メリットは大きくわけて3つ。
- 認知拡散に強い
- 企業コンセプトを伝えられる
- 差別化しやすい
メリットをそれぞれ解説いたします。
認知拡散に強い
PR動画は、認知拡散に向いた動画と言えます。動画内で提起する内容で話題を集め、ユーザー自身に拡散してもらいやすいのが特徴です。
また、多くの人に認知されることで、社会活動を生み出すこともできます。
※社会活動とは、例えばボランティアなど社会に参加して貢献するような活動です。
例えば、服のリサイクルなどもその一部でしょう。”服が使い捨てられること”に課題を感じているユーザーが動画を拡散、リサイクルをしようという社会活動を生み出します。
その活動が行われる時、同時にその活動内容に即したブランド名が紹介されることが多く、これはつまり、広告色が無い状態で、好意的なイメージを維持した状態でブランドを認知してもらいやすくなります。
ここで、PR動画があれば、活用の趣旨やブランドイメージをより鮮明に伝えていくことが可能です。
企業コンセプトを伝えられる
PR動画を利用し、その企業が「何を重視して事業を行っているか?」を伝えることができます。ユーザーは、企業が大切にしている考えに共感し、ファンになることがあるのです。
もし、あなたが商品を買うなら、以下のどちらの企業から商品を買いたいと思いますか?
片方は、地球の環境を少しでもよくしようという理念のもと、環境にやさしい素材を使った商品を作る企業。もう片方は、特になにも謳(うた)っていない企業。
少しでも社会課題に意識のある人であれば、前者を選ぶのではないでしょうか。
企業が大切に思っていることと、ユーザーが大切にしたいことが一致するときに、ユーザーはその企業のファンになります。
ファンになったユーザーは、自らの意思で企業やブランド、製品・サービスを周囲に宣伝してくれるようになるため、プロモーションの観点でもプラスになるという副次効果があります。
差別化しやすい
上期のメリット2つに繋がりますが、社会課題提起をしているため結果的に、顧客のエンゲージを掴みやすい特徴があります。
PR動画ではなくPRの紹介例となりますが、アウトドアメーカーの”パタゴニア”が良い例でしょう。以前は、アウトドアのアイテムを販売している企業というイメージがあったのではないでしょうか?
現在は、地球環境に配慮した企業として、顧客のエンゲージを掴んでいます。
現在、パタゴニアは下記のようなコンセプトを掲げています。
「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」
服を作り売上を上げるのが目的ではなく、地球環境を考え、地球に恩返しをするためにビジネスをしているんだという、強烈なコンセプトを掲げていることがわかります。
ただのアウトドアウェアのブランドとしてではなく、地球の環境に配慮している企業として、他社との差別化を図っているのです。
このように、PR及びPR動画は、ユーザーとの間に「良好な関係性を作れる」というところにメリットがあることがわかりました。
そんなPR動画を作るには、どんなところを気をつけるべきか。
次は、PR動画を制作するポイントを確認していきましょう。
PR動画制作のポイント
ここでは、PR動画を制作するにあたって重要なポイントをご紹介します。
話題になり、拡散されるような動画を作るには、どのようなポイントを抑えるべきか見ていきましょう。
自社のコンセプトをしっかりと明確化する。
PR動画の効果を最大化させるためには、まずは自社は何のために事業を行っているのか?というコンセプトを、はっきりとさせましょう。
前述の通り、PRとは「組織とその周辺の人間との望ましい関係性を持つための行動」。
ここでいう望ましい関係というのは、企業のコンセプトに共感し、その企業の活動を応援したいという気持ちをユーザーが持った状態です。
共感されるには、ただ商品価値を訴求するのではなく、その企業が何のために事業を行っているのかというコンセプトを伝える必要があります。
コンセプトを伝える理由、それは、人は「何を」ではなく「なぜ」に心を動かされる性質があるからです。
有名なゴールデン・サークル理論によると、人は「why → how → what」の順に説明されると、心が動きやすいとされています。
例えがあったほうがわかりやすいかもしれません。例えば、募金。
(why)貧困で困っている国を救いたい。→(how)だからみんなで募金しましょう。→(what)この口座に募金してください。
多くの場合、自社をアピールしようとすると「what(なにをやっている企業か)」をアピールしがちです。しかし、上記の募金に置き換えて、why を無くしてみましょう。この why が無いと共感して募金しようと共感しないのではないでしょうか。
このように、企業コンセプト(why)を明確にすることが、ユーザーの共感を呼ぶ理由になっているのです。
ソーシャルグッドを意識すること
※ソーシャルグッド:地球環境やコミュニティなど「社会」によい影響を与えるサービスや製品のこと。
今、世の中でおこっている社会問題などを、その企業のコンセプトを使うとどのように解決できるか?という発想で企画アイデアをすることが重要です。
その際に、リフレーミングという考え方を参考にします。リフレーミングとは、つまり、物事を違う角度から捉えること。
自社のコンセプトが、どんな社会課題に紐づくことができるのか、様々な角度から見て組み合わせたPR動画を作ります。
(※リフレーミングは右記の記事が参考になります。 ⇒ https://note.com/junichi_0521/n/n36541334abc2 )
ディスカッションを創出することを意識する
より多くの人に拡散されるようになるには、メディアに取り上げてもらうのが効果的です。
メディアが取り上げたい内容とは、必ずと言っていいほどYoutubeなどのSNSで話題になっているもの。
となると、SNSでいかに話題になるか、ということがPR動画を作成する上でポイントになります。
SNSで話題を集めるには、議論やディスカッション、または模倣が生みだされるような構成にするのがコツです。
そのコツがこちら。
- 感情に訴えかけ、共感性が高い内容にする
- 普遍的なテーマを設定する
- 構成はフリと落ちの意外性が重要
- 記憶に残りやすくするために伝えたい1ワードを意識する
上記を意識して、拡散したくなるようなPR動画を制作するのがポイントです。
PR動画を拡散させる仕組みを作ること
どんなに素晴らしいPR動画を作っても、最初のリーチが少なければ拡散は生まれません。そのため拡散する仕組みを作っておくことが重要です。
その最も重要なポイントが、SNSのフォロワーを増やすこと。SNSのフォロワーが多ければ、最初に広告を出さなくてもある程度リーチできます。
これを最も効率的に活用している会社がLINE。多くのアプリユーザーがいるLINEは、広告を出さなくても日本全国のユーザーにアプローチすることができるのです。
このようにフォロワーを獲得しておくことが、PR動画が拡散される最初のブーストになります。
一方で、まだSNSのフォロワーがそこまで多くない会社の場合、最初は広告でPR動画を拡散するのがおすすめです。
最初に広告でユーザーに届け、その広告に接触したユーザーがSNSでUGC(ユーザーが作ったコンテンツ)を生み出すようにしましょう。
その後、UGCが少しずつ発生したら、次にメディア媒体の広告プランをうまく利用しましょう。つまり記事広告です。
「話題になっている動画」という方向性で記事広告に取り上げてもらえば、SNSで拡散されやすくなります。
結果として、youtubeの再生回数が増えていくという好循環を作っていくことができるのです。
では、実際にどのような動画が拡散されやすいのか。PR動画の成功例と言える動画をご紹介いたします。
【会社コンセプトが伝わる】成功事例
ここでは、PR動画で成功を収めた事例を2つ紹介いたします。
他の動画と何が違うのか。なぜ企業のPRをするのに、商品ではなく価値観を伝えているのか。というような視点で、内容を確認してみてください。
事例①ハイネケン
ハイネケンのコンセプトは「open your mind open your world」。
その有名なPR動画がこちら
このPR動画は、普遍的なテーマで意見の違う2人が主役。
その2人にディスカッションをしてもらい、意見の違いを認識してもらいます。
動画の最後には、ハイネケンのコンセプトである「open your mind open your world」を訴求。
どんなに違う意見でも、自分の視野を変え、自分の見える世界を変えようというハイネケンのコンセプトを伝えています。
つまり、PR動画を通じてビールを訴求するのではなく、ビールを通して世界の何を変えたいのか?を伝えているのです。
ビールそのものの宣伝はせず、企業に好意的な印象を持たせることに成功しています。
好意的な印象を受けたユーザーは、この企業から商品を買ってみようかな。という気持ちが芽生えたに違いありません。
事例②:パンパース
パンパースやアリエールを展開するP&Gは、世界で最もPR動画の制作が上手な会社の1つだと考えます。
なぜかというと、P&Gはブランドパーパス(ブランドがこの世に存在する意義)というものを大事にしているから。
すべての商品ラインナップにブランドパーパスを置いています。
その1つの商材であるパンパース。これは赤ちゃん用のおむつですが、このブランドパーパスが「すべての赤ちゃんの明るく健やかな成長に貢献する」というもの。
その赤ちゃんが明るく健やかな成長をするために、赤ちゃんを育てるママやパパを応援することも、企業として大事にしています。
そのコンセプトを表現したPR動画がこちら
赤ちゃんの1歳はママになってからも1歳。そんなママへの感謝をパパがお祝いしてあげるという、パンパースのコンセプトが詰まったPR動画です。
パンパースがママの共感を得ているのがわかります。
このように、PR動画制作の目的は、ただ企業の強みをアピールするためだけではありません。
企業が大切にする考え、想いを伝えることも、非常に重要度の高い目的の1つです。
PR動画を見たユーザーの心を動かし、ブランドに愛着を持ってもらう。そうすることでブランドのファンとなったユーザーが、商品やサービスを買ってくれるようになるのです。
モノがコモディティ化した時代だからこそ、PR動画を利用してブランドが持つコンセプトをしっかりと伝え、差別化していきましょう。
まとめ
企業から、地方自治体まで、あらゆるところでPR動画の利用が効果的です。
PR動画制作の際には、プロモーションやバズりを意識するのではなく、「PR=パブリックリレーションズ」つまり、企業と社会をつなげるためのPR動画を制作することが重要です。
PR動画を用いて企業コンセプトを伝え、ユーザーの心を動かしファン獲得に繋げましょう。
企業のコンセプトに共感したファンが、商品を買ってくれ、さらに知人へ紹介をしてくれる。こうした好循環を作るのに、PR動画が非常に効果的です。
CINEMATOでは、コンサル出身のメンバーが企業コンセプトや社会課題を洗い出し、共感できる内容の動画制作をお手伝いいたします。
PR動画の制作をお考えであれば、ぜひCINEMATOまでご相談ください。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。