マニュアルと言えば、紙やPDFなどの画像やテキストを使ったマニュアルが主流でしたが、最近は「動画マニュアル」を作る企業も増えています。
最近では、動画マニュアルは「一部の先進企業が導入する手法」から、「業務を安定して回すためのインフラ」へと進化しています。生成AIや動画配信プラットフォームの普及で、動画マニュアルは「作れるかどうか」ではなく「どう運用・更新し続けるか」が問われるフェーズに入っています。
一方、「動画マニュアルは本当に効果的?」「作成のポイントは?」などが気になるところ。この記事では、動画マニュアルの制作に長年携わってきた私たちCINEMATO(シネマト)が、動画マニュアルの導入メリットや制作事例、作り方のコツを解説します。ぜひ動画マニュアルを作成する際の参考にしてください。まずは、動画マニュアルとは何か?を確認しましょう。
目次
動画マニュアルとは?種類と特徴を解説

動画マニュアルは、マニュアルを動画化したもので、「取り扱い説明書や作業手順を体系化した手引書」として機能します。従来の文字だけのマニュアルと比較して、視覚と聴覚を使ったわかりやすさが特徴ですが、まずは動画マニュアルがどんな場面で使われるのか、種類や特徴を解説します。
動画マニュアルは、内容によって下記の4種類に分類できます。
製品チュートリアル動画
取り扱い説明書やチュートリアル系の動画マニュアルです。製品やサービスを購入したユーザーへ送る想定で作成されるものですが、動画なら操作手順を「動き」で説明でき、紙面のマニュアルよりわかりやすく作成できます。
業務手順を説明する動画マニュアル
業務内容を説明する動画マニュアルです。新入社員が入社する際に、業務の全体像を把握するのに役立ちます。動画マニュアルなら視聴するだけで説明が完結し、社員教育にかかる業務負担を軽減できます。
また、店舗や工場などの現場作業では、スマートフォンで撮影・編集し、そのまま共有する「スマホ完結型の動画マニュアル」も増えています。TikTokのような縦型動画形式にすることで、現場スタッフが手軽に視聴できる点がメリットです。
セールス動画マニュアル
セールス動画マニュアルは営業プロセスを可視化したもので、営業力向上とチーム全体の成約率アップを狙います。社内のトップセールを参考に、営業を成功させるノウハウを動画マニュアルとして制作します。
研修動画マニュアル
社員研修で使う動画マニュアルです。業務に必要なマナーや社内ルール、店舗運営方法などを覚えるために使われます。映像を視聴するだけで済むため、少ない工数で教育研修を実施できる点が研修動画マニュアルを作るメリットです。
動画マニュアルを作るメリットや効果

次に動画マニュアルを作るメリットや期待できる効果を確認します。
テキストのマニュアルと比較して映像の方が内容を理解しやすい
動画マニュアルは、複雑な手順を「動作」で表現できます。
複雑な手順をテキストと画像で表現する紙面のマニュアルは、「どこを」「どのように」「どうするか」を説明すると長くなりがちで、見る側の負担になります。比較して映像のマニュアルなら、動きと音声、テロップで表現できるため、直感的に理解しやすいのが特徴です。
教育コストの削減効果
そもそもマニュアルは業務説明や営業、研修を効率化し、教育コストを削減するために作成・導入されます。
動画マニュアルは印刷代や配送代の削減効果があり、また理解もしやすいため、教育・研修にかかる人件費も削減可能です。
カスタマーサービスの効率化
「商品説明書を見ても使い方がわからない」とのコールセンターへの問い合わせが多く、動画化を検討したいと私たちCINEMATOにお問い合わせいただく企業様も多くいます。わかりやすい動画マニュアルを作成・導入すれば、ユーザーからの問い合わせが減り、カスタマーサービスを効率化する効果も期待できます。
時間や場所を選ばず視聴できる
動画マニュアルを作成すればスマホなどの端末からいつでも視聴できます。紙面は持ち運びが必要で、見たいときに手元にない場合もあります。
「先輩社員が忙しくて聞けない」「一度聞いたことは聞きにくい」という心配もありません。繰り返し視聴できるので、記憶に定着しやすい点もメリットです。
サポートコストの削減
SaaSサービスでよくあるのが、導入企業内でサービス利用が定着しない課題です。使われなければコストが無駄と感じ、サービスが解約されてしまいます。
説明書代わりに動画マニュアルを送付し、ユーザーが自力で解決できれば、企業はカスタマーサクセスの人員増などのコストを回避できます。
以上、動画マニュアルの導入メリットを解説しました。
- 理解しやすい
- 教育コストの削減効果
- カスタマーサービスの効率化
- 時間や場所を選ばず視聴できる
- サポートコストの削減
このように動画マニュアルを制作することで、様々な課題の解決を期待できます。次に、実際どのような動画マニュアルが作成されているか、動画マニュアルの導入事例を確認します。
動画マニュアルの導入事例
動画マニュアルには、複数の種類があります。用途別の導入事例を紹介しますので、参考にしてください。
製品動画マニュアル(チュートリアル)の事例
草刈り機の操作説明動画です。どんな機能があるのか、どう操作すればよいのか、説明書を動画マニュアル化しています。使い方の説明はテキストの説明書では限界があります。体の使い方までわかりやすいのは、動画マニュアルならではです。
業務手順を説明する動画マニュアルの事例
家事代行サービスの業務手順を説明する動画マニュアルです。入室から作業内容、チェックポイントまで、業務の流れを説明しています。
新入社員の入社のたびに説明する必要がなく、教育コストを削減できます。また指導員で指導方法が変わらず、均一に業務手順を教育できる点が動画マニュアルのメリットです。
セールス動画マニュアルの事例
営業プロセスを可視化した動画マニュアルです。トップセールスの営業プロセスを動画化し、営業力向上を目的としています。トップ営業マンがどんな準備をし、どんな方法で顧客へアプローチするのか、映像と音声で必要なポイントを説明します。
社内研修動画マニュアルの事例
新入社員に情報漏えいの重大さを説明した動画マニュアルです。ストーリー仕立てで、情報漏えいの重大さが伝わる内容です。研修型の動画マニュアルは、社内ルールや社会人に必要なマナー、店舗運営方法を伝える新入社員向けの研修などで活用されます。
以上、動画マニュアルの検討で参考にしていただきたい事例を紹介しました。動画マニュアルの活用イメージはついたでしょうか。
※上記以外のマニュアル動画の制作事例については下記の記事でも詳しく紹介中です。
マニュアル動画の事例7選!活用方法・メリット・費用相場を解説
次は、伝わりやすい動画マニュアルを制作するコツや作り方を確認しましょう。
効果的な動画マニュアル作成のコツや作り方のポイント
効果的な動画マニュアルを作成する際のコツは、誰が見てもすぐに理解できる内容にすること。短時間で効率的にインプットできる動画マニュアルを作成するには、下記の点を意識した作り方がポイントです。
動画マニュアル作成の目的を決める
はじめに動画マニュアルの目的を明確にしましょう。表面的な悩みでなく、「マニュアルの内容がわかりにくくて発生している課題」を特定し、その課題の解決を動画制作の目的にすることがポイントです。
誰が動画マニュアルを使うか明確にする
次に動画マニュアルを「誰が」使うか明確にしましょう。使う人の知識レベルを想定し、マニュアルで使う単語や操作方法を設定するのがポイントです。
例:新人向けのマニュアルは専門用語を少なくするなど
字幕(テロップ)を活用する
映像に加えてテロップを活用すれば、マニュアルのポイントをしっかり伝えられます。
テロップをつけるコツは、短く簡単で誰でも理解できるようにすることです。
映像の尺は短く小分けにする
長時間の完全版動画マニュアルを作成するより、ニーズ別に短い映像に分けて作成するほうが効果的な場合もあります。
マニュアルでユーザーが知りたいことは一部です。ニーズごとに小分けにし、動画のタイトルを見ただけでどんな映像なのかが一目でわかるようにすることがポイントです。
動画内検索できる設計にする
動画マニュアルの弱点は、「知りたい箇所をすぐに探せない」点です。
その対策として、音声の文字起こしを行い、チャプター(目次)を設定することで、視聴者が必要な箇所へすぐにジャンプできるようにしましょう。これにより、動画マニュアルは「最初から最後まで見る教材」ではなく、「必要なときに使える業務ツール」にできます。
強調したいところを大きく表示する(特に操作マニュアルの場合)
ソフトのデモ画面を録画した操作マニュアルでは、見てほしいポイントは矢印で大きく表示しましょう。小さいと視聴者はどこを見ればよいのか探すことになり、気が散ります。「少し大げさかな」というくらい強調しましょう。
エフェクトを入れる
ユーザーが行動を起こすポイントでは、エフェクトを入れてわかりやすくしましょう。
例えば、下記の画像のように、「”閲覧状況を確認する”にチェックする」という指示があったとしましょう。チェックする=クリックするということを視覚的に表現することで、ユーザーはどの行動をどう取れば良いかわかりやすくなります。 
動画のファイル容量は小さくする(または配信プラットフォームを活用する)
動画マニュアルのファイルは、圧縮して容量を小さくしましょう。ファイル容量が大きいと、表示までに時間がかかったり、通信制限がかかる場合もあるほか、保存容量を圧迫する場合もあります。複数の動画マニュアルを制作する場合ほど、容量の管理が重要です。
一方、現在の動画マニュアル運用では、動画を個別にファイルで管理するよりも、ストリーミング配信に対応したプラットフォームを利用するのもおすすめです。
YouTubeの限定公開やVimeo、動画マニュアル専用SaaS、社内LMSを活用すれば、視聴環境に応じた最適な配信ができるため、制作者が圧縮率を細かく調整する必要もなくなります。
- 動画マニュアル作成の目的を決める
- ターゲットを明確に
- 字幕を活用する
- 映像の尺は短く小分けにする
- 動画内検索(チャプター)を設定する
- デモ画面の矢印は大きく
- エフェクトを入れる
- ファイル容量を小さく(または配信サービスを活用)
以上、動画マニュアルの作り方のコツを紹介しました。
動画マニュアルの作り方のコツが理解できたところで、次に具体的な動画マニュアルの制作ステップを確認しましょう。
動画マニュアルの制作ステップ
動画マニュアルを制作する場合、以下のステップで作成するのがおすすめです。
- ターゲットや課題・目的を明確化
- 構成案・企画書の作成
- 必要な情報を収集
- 台本・絵コンテ作成
- 動画を撮影(+ナレーション入れ)
- 撮影した動画の編集
ターゲットや課題・目的を明確化
まずは、動画マニュアル作成の目的やターゲットを明確にしましょう。
- どの課題や問題を解決するマニュアルを作成するのか
- どのターゲット向けに作成するのか
これらを明確にしておかないと、「どんな時に見る動画マニュアルなのか」「どんな人のための動画マニュアルなのか」がブレてしまい、費用対効果の高い動画マニュアルを制作できません。
ターゲット像や目的は細かく設定し、解像度を高くしておくことが重要です。
構成案・企画書の作成
次に、作成する動画マニュアルの構成案や企画書を作成しましょう。具体的には、どの順序で動画マニュアルを撮影し編集するのか、どの視点や切り口で解説する動画マニュアルを制作するのかなどの構成案を作成し、必要な情報や素材を洗い出してまとめることが重要です。
必要な情報を収集
作成する動画マニュアルで必要な情報を収集します。
動画マニュアルに必要な情報をインターネット上や書籍から集めましょう。正確で信頼性の高い情報を収集することが重要です。また、動画マニュアルの内容によっては、事前に現場の社員に取材やヒアリングを行う必要もあります。
業務マニュアルであれば実際に現場で作業をしている人、製品/サービスのマニュアルであれば実際にその製品/サービスを利用している人の声を取り入れることで、どのような箇所で躓きやすいのか、どこが分かりづらいのかを利用者目線で把握できます。
台本・絵コンテ作成
次に、撮影する動画の台本や絵コンテを作成します。
台本はナレーションや画面の説明文など、動画の内容を文字に起こしたもので、絵コンテは動画のシーンをイラストで表したものです。これらの作成で、動画マニュアルの撮影者や演者は、スムーズに撮影できます。
なお、近年では生成AIを活用して、構成案や台本の叩き台を短時間で作成する手法もあります。
また台本や絵コンテの作成で、動画マニュアルの制作に関わるメンバーの認識のズレ・構成や目的の理解度のズレを小さくできます。
ここまでの準備を怠ると、次のステップ以降の「撮影」や「撮影素材の編集」のステップでやり直しが発生しやすくなります。効率よく動画制作を進めるためには、ここまでの準備を丁寧に進めましょう。
動画撮影とナレーション
撮影に必要な機材や人員を準備し、撮影します。
ナレーションが必要な場合は、このタイミングで録音します。
動画マニュアルの内容によっては、カメラ撮影だけでなく、画面収録(スクリーンキャプチャ)による制作が主流です。業務システムやSaaSの操作手順なら、LoomやClipchampなどの画面録画ツールで操作しながら説明するだけで、短時間でマニュアルを作成できます。この方法なら、大がかりな機材や人員は必要ありません。
ただし、撮影した動画を編集する際に素材のカットをおこなう場合は、動画マニュアルの映像と音声が合わなくなることもあります。その場合は、動画を編集後、あとからナレーションを入れるやり方もおすすめです。
さらに近年は、ナレーターによる録音ではなく、AI音声合成を活用するケースも増えています。AI音声を使うことで、原稿修正時の撮り直しが不要になり、動画マニュアル最大の課題であった「修正コストの高さ」を大幅に削減できます。
撮影した動画の編集
最後に、撮影した動画を編集し、動画マニュアルを完成させます。
編集する際には、動画マニュアルの視聴者が内容を理解しやすいよう、必要な部分を適切にカットしたり、字幕やBGMを加えて分かりやすくすることが大切です。
以上が、動画マニュアルの制作ステップです。動画マニュアルを作成する際は、ぜひこの内容を参考にしてください。
- ターゲットや課題・目的を明確化
- 構成案・企画書の作成
- 必要な情報を収集
- 台本・絵コンテ作成
- 動画の撮影(+ナレーション入れ)
- 撮影した動画の編集
動画制作会社への依頼と編集ソフト・ツールを用いた自社制作、どちらがおすすめ?
動画マニュアルの制作方法は、動画制作会社・映像制作会社への依頼と、自社で編集ソフト・ツールを用いて内製する2つの進め方があります。どちらを選ぶかは、動画マニュアルの内容や予算で異なりますが、それぞれのメリットとデメリットを考慮することが大切です。
動画制作会社・映像制作会社へ依頼する場合のメリットは、クオリティの高い動画が作れることです。
また、動画制作会社は企画から編集まで一貫して制作をおこなってくれるため、動画マニュアル発注企業側の手間や時間を省けます。ただし、その分、制作費用が高くなることがあります。
一方、内製する場合は、予算を抑えられるというメリットがあります。
ただし、制作に必要な機材やツールの導入コストがかかる可能性があることや、制作するスタッフの技量によってクオリティにバラつきがでやすい点・求めているクオリティの基準に届かない可能性がある点に注意が必要です。
また、現在の動画マニュアル制作では、「完全外注」か「完全内製」かの二択ではなく、プロが設計したテンプレートやAIツールを活用しながら内製するハイブリッド型が主流です。特に更新頻度の高いマニュアルは、最初から自社で修正できる体制を作ることで、情報の陳腐化を防ぎ、長期的な運用コストを抑えられます。
上記の内容を踏まえて、予算やスケジュール、動画マニュアルに求められるクオリティに応じて、制作会社に依頼するのか、内製するのかを検討しましょう。
より具体的な動画の種類で例を挙げると、内製するスタッフに動画制作のスキルや経験がない場合、特に編集技術が必要なアニメーション動画や、不特定多数の視聴者が想定される社外向けの動画マニュアルは、動画制作会社・映像制作会社への依頼がおすすめです。
一定以上のクオリティが求められる動画マニュアルの場合は、なるべく動画制作会社・映像制作会社に依頼をしましょう。コストは大きくなりますが、その分クオリティも高く、長く使える動画マニュアルを制作できます。
まとめ
動画マニュアルを作成・導入すれば様々な業務の効率化が可能です。
新人研修や、営業、商品の説明書など、業務効率化できる業務はたくさんあります。「塵も積もれば山となる」というように、日々1人ひとりの業務時間を短縮することが会社全体では大きな経費削減につながります。
もし動画マニュアルの作成をご検討中なら、ぜひ一度CINEMATOまでご相談ください。CINEMATOではコンサルティング出身のメンバーが課題を洗い出した上で、最適な動画マニュアルをご提案します。
ご相談は無料ですので、動画マニュアルの制作をお考えであれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

