近年、IR(インベスター・リレーションズ)活動の重要性が年々高まってきているのに連動して、IR動画の活用を考える企業が増えています。
そもそもIRは、”投資したい”と思ってもらえるように、活動投資家との関係性を築くことが目的です。企業が伝える業績やビジョンが、投資に値するかというのが重要になります。
しかし、IR活動のオンライン化が進んだ現在、テキストベースの資料では十分に魅力が伝わらないというのが課題になってきました。
そこでおすすめなのが、IR動画の導入です。IR動画最大のメリットは、「伝わりやすい」こと。業績や事業内容についてわかりやすく説明できることに加え、テキストでは伝わらないビジョン(想い)なども伝えることができます。
この記事では、IR動画のメリット、制作ポイントと、IR動画のジャンルを事例を用いてご紹介いたします。IR動画の重要性を知って、活用を検討して頂ければ幸いです。
まずは、IR活動の重要性について確認していきましょう。
目次
IR(インベスター・リレーションズ)・IR動画とは?IR動画の必要性について
IRとは?
SMBC日興証券によると、IRとは下記のように定義されています。
IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動を指します。
具体的な活動としては、ホームページ上における情報開示だけでなく、ディスクロージャー資料の送付や、決算説明会や各種説明会を開催したり、工場や施設などの見学会を実施したりするなど、企業によっては独自のIR活動を行っているところもあります。
引用:https://www.smbcnikko.co.jp/terms/eng/i/E0034.html
IR活動は簡単に言い換えると「資金調達を有利にするための活動」です。
投資家から見るとIR活動を行っている企業は、信用できる企業だという印象を受けます。(内容によっては、必ずしも良い印象になるとは限りません)
IR情報は投資家が投資判断する際には、必ずチェックしたい内容となっています。
様々な情報を開示するIRにおいて重要なのは、「伝わる」ことです。どれだけ開示しても、伝わらなければ意味がありません。
そんなときには、IR動画がおすすめです。
IR動画とは?
IR動画とは、企業が投資家や株主に向けて発信する情報を、ホームーページ上での文書や紙ではなく、動画コンテンツとして発信するものを指します。
企業が、株主や投資家向けに、経営状態・財務状況・業績や戦略・今後の見通しなどを広報するためのインベスター・リレーションズ活動の一環として作成し、決算説明会や投資家説明会、ホームページ上でのストック型コンテンツとして活用されます。
上記のような利用用途や目的で制作されるIR動画は、なぜおすすめと言えるのでしょうかここからは、IR動画を導入するメリットを確認していきましょう。
IR動画を導入するメリット
そもそも、なぜIR動画を導入する企業が増えているのでしょうか?
こちらでは、IR動画を導入するメリットをご紹介します。
IR動画の導入メリット
- 事業理解がしやすい
- 株主・投資家にとって業績報告がわかりやすい
- 企業・経営陣の熱意や世界観を伝えやすい
- 決算発表に参加できなかった人も、後から内容を確認できる
- サービス・商品の情報も理解しやすい
ここでは、5つのIR動画導入のメリットをご紹介します。
事業理解がしやすい
IR動画を活用することで、事業内容を詳細に理解してもらうことができます。
従来のように、スライド資料のようなテキストと画像だけでは複雑な事業内容を説明してもわかりにくいもの。
1分間で、WEBサイト3,600ページ分とも言われる情報量を持つ動画を利用すれば、事業内容をわかりやすく伝えることが可能です。
事業の特徴や将来の可能性が伝われば、新規株主や、事業に理解を持った株主を獲得しやすくなります。
株主・投資家にとって業績報告がわかりやすい
投資家にとって重要な決算報告は、内容が複雑で情報量も多いため、退屈でわかりにくいものです。
IR動画を使えば、複雑な事業数字やその成長率などをグラフや映像を用いて、わかりやすく説明できます。
業績をわかりやすく伝えられるということは、株主が納得感を持ちやすくなるということ。投資判断をするのに、わかりやすさは重要な要素です。
企業・経営陣の熱意や世界観を伝えやすい
IR動画の特に効果的な活用例は、事業の今後の展望やビジョン、世界観を紹介する場面。
ストーリー仕立てで、企業・経営陣が大切にしている考え、熱意、そして今後の展望、世界観を効率的に伝えられます。
投資家の心を動かすのは、業績だけではありません。価値観に賛同したり、応援したいという気持ちも、投資の判断基準には含まれるのです。
決算発表に参加できなかった人も、後から内容を確認できる
IR動画をwebに掲載することで、株主総会に参加できない人でも、後から決算内容を確認することができます。
オンライン決算報告を議事録として残し、ダイジェストとして掲載すれば、コストパフォーマンスよく、より多くの投資家にアピール可能です。
サービス・商品の情報も理解しやすい
IR動画は、企業のサービス・商品に関する情報も、分かりやすく伝えることができます。
具体的な活用事例、ユーザーインタビューなどを盛り込むことで、株主や投資家に対して、製品やサービスの魅力を効果的に伝えることができます。
特に、形のないサービス(無形商材)は、動画との相性が抜群です。視覚・聴覚への効果的なアプローチで、情報を無駄なく確実に伝えることができます。
以上、IR動画のメリットをご紹介しました。
続いては、IR動画でよく使われる動画の種類と、その事例を確認していきましょう。
【活用シーン別】動画の種類と事例
ここでは、IR動画の種類と特徴をご紹介いたします。シーンごとに、どのような動画が活用できるのか、具対的にイメージできるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
事業説明・理解促進動画
主に、企業の事業特性や他社と違う点、マーケットの可能性などを紹介するIR動画です。
株主が投資判断するにあたって、その事業が投資に値する事業なのかを判断するために必要になります。
例えば、マザーズ上場企業では、これまで社会になかった新たなサービスを提供している会社が多く存在します。
しかし、テクノロジーの進化と共に立ち上げた新規事業が多く、技術進化に知見のない株主は、投資判断が難しいのです。
そのテクノロジーの説明にIR動画を利用すれば、競合との優位性をわかりやすく示すことができます。
また、事業説明動画では、市場マーケットの変化、ニーズの顕在化、自社サービスの特徴と詳細、今後の展望といった動画構成が有効的です。
下記のIR動画が参考になります。
アライドアーキテクツ株式会社
決算報告動画
決算報告動画はその文字の通り、その企業の業績を株主に説明するIR動画です。
売上、利益、事業を進める上で特筆すべき点、行ってきた企業活動などを説明します。
伝えたい報告内容は、ほぼ毎年同じです。動画で説明することで経営者の負担を軽減し、効率化を図ることができます。
下記2社のIR動画が、参考になります。
株式会社 イグニス
サイバーエージェント
WEB報告会動画
WEB報告会動画は、決算報告をスライドでプレゼンテーションしている様子を録画し配信するIR動画です。主に、決算説明会の議事録の役割も果たします。
動画配信専用のツールを使用し、経営者が説明している様子とプレゼンテーション資料を画面に共有し、確認したい部分だけ確認できるIR動画です。
動画配信サービスを利用すれば、より多くの投資家に届けることができます。
サイバーエージェント
ブランドムービー(企業や商品のブランディング動画)
ブランドムービーは企業の想い(その事業を”なぜやるのか”といった部分)を株主にアピールするIR動画になります。企業の想いに賛同し、投資を決意する株主もいらっしゃいますので、ブランド認知のためのIR動画も効果的です。
株主はあくまで収益性を重視することが多いですが、一方で、その企業のミッションや社会的意義に賛同する人も増えてきています。
例えば、マツダは毎年「zoomzoom」の動画を必ずIR活動のタイミングで見せているそうです。
ものを作るにはリファレンス(基準)がいる。「いいクルマ」と言ったところで人それぞれだ。
しかし、一台3万点と言われる恐ろしい数の部品の集合体であるクルマを作る時に、人それぞれでは困る。
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/181b4a8364b6238295da08cfc269a03f3d428cd2?page=5
このように、“その企業がどのような想いで事業を行っているのか”という点に安心感や信頼を寄せ、投資を判断することもあります。
役員/社員紹介動画
株主総会などに出席しない役員や社員を紹介する動画も有効的です。
ブランドムービーのように、そのブランドが持つ想いを重視する投資家もいれば、「人」を見て投資する、という投資家もいます。
役員の人柄を伝えたり、優秀な社員がいるというアピールをすることで、安心感を持たせることができます。
オフィスや工場のWeb上見学動画
実際のオフィスの雰囲気や工場の設備投資の確認も、投資家にとっては、今後も投資をおこなうかどうかを判断するための非常に重要な情報の1つ。
オンライン上で企業の魅力を伝えるために、オフィスや工場の見学動画・案内動画は非常に有効です。時間や場所の制約でオフィス見学や工場見学に参加できない投資家にも、リアルな現場の様子をリアルタイムで伝えることができます。
製造工程や研究開発の取り組みなどをリアルな映像で紹介することで、製品やサービスの品質や技術力をアピールすることも可能です。
株主総会・決算説明会等のライブ動画
株主総会や決算説明会などの重要なイベントは、ライブ動画を活用すれば、オンライン上でより多くの株主・投資家がアクセス可能になります。これにより、遠方の株主や関係者もリアルタイムで情報を得られます。
さらに、過去のライブ映像は、アーカイブ動画としてサイト上に公開しておけば、いつでも確認が可能です。リアルタイムでの参加が難しい株主・関係者にも情報を伝達することができます。また、長くサイト上で情報を確認できるため、透明性と信頼性を高め、投資家や関係者の満足度を向上させることも期待できます。
次は、IR動画を制作する際のコツについて確認していきましょう。
IR動画制作のコツ・ポイント
IR動画の種類によってもことなりますが、IR活動で重要なのは、投資家の心を動かすこと。
何をすれば心が動きやすいのか、IR動画を制作する際のコツをご紹介致します。
事業の可能性や特徴をしっかりと際立たせる
投資家がその企業に投資するに値する理由を、ストーリー立てて説明しましょう。
事業活動のマーケットニーズ、その企業のUSP(独自の強み)、今後の事業展望などをストーリーで描くことで、投資家の記憶に残りやすくなります。
決算説明動画は端的に伝える | わかりやすさを重視する
数字内容や演出は極力スピーディかつ、あきのこない演出を心掛けましょう。
決算報告は数字での報告が中心なため、視聴者側(投資家側)からすると飽きてしまう傾向もあります。投資家に内容をしっかりと見てもらえないということは、投資するためのチャンスを逃している可能性すらあるのです。
IR活動とは投資を得るための活動ですから、決算内容をしっかりと見てもらうことが重要。
企業が持つ想い(why)をアピールする
IR動画は、基本的に事業活動の報告が中心ではありますが、「その企業が何を目指していて、何のために事業を行っているか」という想いを、一貫性のあるストーリーでアピールすることも重要です。
数値だけではなく、想いをアピールすることで、投資家の心を動かしましょう。
企業イメージを損なわないようにする
IR動画を制作する際には、企業のイメージを損なわないように注意が必要です。
IR動画から受けるイメージは、株主・投資家が、企業への投資判断をする上での非常に重要な判断材料となります。
映像や音声の全体的なイメージだけでなく、演者の選定から、実際に話す際の声トーンや表情など、細部にまで注意を払い制作しましょう。
高品質なIR動画が求められるため、動画制作会社に依頼するのがおすすめです。企業の独自の魅力、オリジナリティも同時に引き出すことができるよう、企画力やヒアリング、提案力に優れた制作会社を探しましょう。
以上、IR動画を制作する際のコツやポイントをご紹介しました。
IR動画配信サイト・配信サービスを利用してより多くの投資家にアプローチしましょう
現在は、IR動画を配信するためのサービスが登場するなど、投資家もIR動画を重要視している様子が見て伺えます。
IR動画を制作したら、自社サイトで紹介するだけでなく、以下で紹介するような配信サービスにも載せましょう。より多くの投資家に知ってもらうチャンスです。参考までに、どのようなIR動画配信サービスがあるのかご紹介いたします。
日興アイ・アール
日興アイ・アールは、SMBC日興証券グループのIRコンサルティングファームです。
インターネット上で配信されている決算説明会などの動画コンテンツのリンク集を提供しています。
多くの企業のIR動画を一覧で確認できる配信サービスで、投資家にとって便利です。
IR動画サイト
株式会社リンクスリサーチが運営するIR動画の配信に特化したWebサイトです。
決算説明会や株主総会、個人投資家向け説明会の動画を数多く配信しています。アップロードしてサイト内にIR動画を残しておくことができるので、リアルタイムで参加・視聴できなかった株主・投資家との相性が良いサービスです。
動画本数は7,000本、登録企業も1,500社を超えており、サービスの信頼性も充分です。
IR Times
IRに関連したリリース情報、および動画や資料の配信を行うWebサイトです。
IR動画サイトは、動画配信に特化したWebサイトですが、こちらのIR Timesは動画とともに、動画内で使用されているスライドショーもPDFで一緒に確認が可能です。
IR動画事例【CINEMATO制作実績】
最後に、CINEMATOが過去に制作したIR動画の事例をご紹介します。IR動画を制作する際は、ぜひ過去の他社事例を参考にしながら、動画の詳しいい制作内容についてご検討いただければと思います。
なにかお困りごとやご相談事項がございましたら、お気軽にCINEMATOまでお問い合わせください。
リックソフト株式会社様
株主に対して会社概要やサービス内容をわかりやすく説明するIR動画です。会社概要やサービスの内容が複雑なため、株主に明確に理解していただくことを目的とした動画制作をご依頼いただきました。
アジャイル開発やウォーターフォール型といった、実写では演出が難しい内容を、アニメーション演出でわかりやすく制作しました。
freee株式会社様
個人事業主からエンタープライズまで幅広い領域において、クラウド会計ソフト・人事労務ソフトなど、顧客のバックオフィス業務全般を支援しているfreee株式会社様のIR動画です。
事業特性や今後の市場成長、カルチャーなどの会社紹介を動画でまとめています。
IR動画を制作するならCINEMATOにご相談を
企業にとって資金調達は、事業を成長させるために非常に重要なポイント。その資金調達には、適切なIR活動が必要です。
資金調達のうまい企業は、事業内容、将来の展望、企業のもつビジョンなど様々な要素で投資家の心を動かします。
アップルやアマゾンのような企業は、IR動画をうまく利用して、投資家の心を動かし、資金調達を実現しているのです。
冒頭でもお伝えしたように、IR活動は今後増々、重要性が高まってきます。
IR動画を活用し、「わかりやすく」「伝わりやすい」情報を届けることが、企業の成長に大きく影響すると言っても過言ではありません。
IR動画を導入し、投資家の信頼を勝ち取っていきましょう。
CINEMATOは、「伝わらないをなくす」をコンセプトに、IR動画のような企業の持つ想いを届ける動画制作に長けています。コンサル出身のメンバーが、何を伝え、どんな課題を解決すればよいのか洗い出した上で、最適なIR動画企画をご提案致します。
IR動画制作に関する疑問をお持ちの方、どんな動画を作ればよいかわからず困っているという方、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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