皆さんこんにちは。
顧客インタビュー第18弾です。株式会社出前館は、アプリやサイトから簡単に注文でき、全国47都道府県に展開する国内最大級のデリバリーサービス「出前館」を運営するテクノロジー企業です。サービス開始から約25年という歴史や、誰もが口ずさみたくなるようなテレビCMで「知らない人はいない」というほどの知名度を誇っています。
昨今では、フードデリバリーサービスのみならず、医薬品、日用品、飲料などの生活するうえで欠かせない商品を即時に配達するクイックコマース事業も展開。生活者に直接触れる「ラストワンマイル」を支える企業として躍進しています。
「その一方で、課題も抱えていました」と語るのは、人事部の人事採用グループの小宮さま。フードデリバリーサービスの知名度はあっても、実際に出前館がどういう会社なのかという実態については、あまり知られていない現状がありました。そのことは、採用活動を行うにあたって、大きな支障になっていたのです。そうした問題意識のもと、ミッションやビジョンを伝えるコンセプト動画を制作すべく、どのようにその課題に立ち向かったのか動画制作プロデューサーの熊谷とインタビュアーの内藤とともにお話を伺いました。
会社の理解を深めるにはテキストではなく、動画の発信力が必要だった
内藤:1999年の創業以来、フードデリバリーのパイオニアとして成長し、今や絶大な知名度を誇っている出前館さまですが、これまで採用動画を制作したことは一度もなかったそうですね?
小宮:はい、不思議なことに、まだ制作したことがありませんでした。フードデリバリーサービス自体が多くの方々に知っていただいているという事実があるおかげで、良くも悪くも、動画の必要性に気づけなかったのかもしれません。
ただ、会社のミッションやビジョンは、自分たちが大切にしている価値観を社外や社内に示すものとして重要であることには変わりありません。出前館はこれを、次のようなテキストで表現していました。
ミッション「テクノロジーで時間価値を高める」
ビジョン「地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ」
やはり、テキストだけでは印象が漠然としていて、出前館のわくわくする未来を感じさせるには不十分なんです。ようやく、イメージを直接的に訴えることのできる動画の必要性に気づいて制作プロジェクトを開始しました。
心地よいキャッチボールで動画を作っていった
内藤:制作会社を選ぶにあたって、EXIDEAに決めた理由をお聞かせください。
小宮:5社ほど声をかけ、その内の3社にプレゼンをしてもらいました。EXIDEAさんの説明を聞いたのは、2社目だったんですが、他社に比べて解像度の高い提案に驚きました。制作会社を選ぶにあたり、予算や納期といったことより、何より出前館のミッションやビジョンをどれだけ理解し、適切な表現方法を提案してくれるかということを重視していました。過去に積み上げてきた実績をアピールすることはもちろん、未来に向けてどのようなビジョンを思い描いていけるかということです。
「テクノロジーで時間価値を高める」というミッションと、「地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ」というビジョンの先に見えてくるワクワク感をどのように表現したら良いのかを、EXIDEAさんは1回目の説明のみで、2回目のミーティングの際には的確な提案が返ってきて驚かされたんです。それは、回数を追うごとに精度が増して、心地よいキャッチボールをしているような感覚でした。
EXIDEAとして、今回のコンセプト動画の制作で力を入れたところを教えてください。
熊谷:今回、私たちが提案したのは実写動画ではなく、アニメーション動画だったので、言葉の選び方にこだわりました。そのため、早い段階でプランナーとコピーライターに参加してもらい、出前館さまの事業理解と、表現方法の模索を同時進行で進めていきました。最初に考えたのが、フードデリバリー業界のなかで、出前館さまがどのような立ち位置にいて、他にはない特色を持っているのかということでした。
出前館さまが追及している「時間価値」とは何なのか?「地域のライフインフラ」とはどのようなものなのか?ということについて、徹底的に掘り下げていきました。その上で、出前館さまがフードデリバリー業界のなかで日本発祥の企業であり、さらに25年もの歴史を持っているという特色は、是非とも強調したいポイントだと考えました。
さらに、フードデリバリー以外でも、医薬品や日用品など、生活に欠かせない商品を即時で配達するクイックコマース事業を展開している部分をどのように見せるかということにも気を配りました。日本企業としてスタートしているからこそ、国内の少子高齢化や地方の衰退といった問題に積極的にコミットしていけるポテンシャルがあることを表現するべきだと思ったんです。
小宮:そう言えば、「出前館は、次の『あたりまえ』に取り組んでいきます」というキャッチコピーは、かなり早い段階から提案されていたと思いますが、思わず「これだ!」と思ったのをよく覚えています。
熊谷:そのように仰っていただき、嬉しいです。出前館さまは「テクノロジーの力で、人々の生活や時間をより価値のあるものにする」という使命のもと、20年以上かけてフードデリバリー領域に向き合い、「出前」があたり前の世界を実現してきました。これがまさにビジョンに掲げられた「地域の人々の幸せをつなぐライフインフラ」であり、フード以外のデリバリーや、ドローンやロボットといったテクノロジーも活用して社会問題を解決するなど、さらなるライフインフラ実現の展望をしており、これらをふまえて、「出前の会社」から「次のあたり前をつくる会社」というコンセプトを考えました。
出前館が変化をもたらす、次の「あたりまえ」とは?
内藤: 出前館さまがフードデリバリーだけでなく、日用品や医薬品のクイックコマースを始めたのは、いつごろからなんですか?
小宮:ノンフード領域のデリバリーは2022年から本格的に開始して、多くのお客さまにニーズに合った商品をお届けすることができるよう取り組みを進めています。2024年8月には、生鮮食品や日用品などを最短30分で届けるというLINEヤフー社とのサービス「クイックマート」を提供開始し、子育てやお仕事などで時間の確保が難しい方や、体調不良などにより外出が困難な方など様々な生活シーンでご利用いただいております。今後も医薬品など取り扱い商品等を拡充しながら今年中に全国へサービスエリアの展開を予定しています。欲しいものがすぐに届く「あたりまえ」にチャレンジしていきたいです。
内藤:動画のナレーションには、「次の『あたりまえ』」の一環として、「人のリソースだけでなく、ドローンやロボットが届ける未来」という言葉が出てきます。こちらは、どのような事業を指しているのでしょう?
小宮:例えば茨城県境町では、人口減少や高齢化の影響を受けて、地域住民の方々がデリバリーサービスを受けられないという地方ならではの問題を抱えている地域です。2023年4月、出前館はドローン開発で目覚ましい成果を挙げている株式会社エアロネクストとともに、境町エリアで出前館アプリと連携したドローン空輸と陸送のハイブリッドなデリバリーサービスを開始しました。
このように、ドローンやロボットを活用したサービスはとてもわくわくするのですが、今後の展開は未知数のためはっきりしたことを語ることはできないんですが、「人のリソースだけでなく、ドローンやロボットが届ける未来」というキャッチコピーは、これからの未来を適確に表現してくれていますよね。動画の最後には、「次の『あたりまえ』」というコピーを受けて、「つぎは、何を届けよう」という言葉につながるところは、わくわくする出前館の未来を伝える印象的な流れになっていると思います。
内藤:実写ではなく、アニメーション動画で表現することについて、こだわった点はどちらですか?
熊谷:同じ動画であっても、実写とアニメーションはまったく正反対の表現手法です。というのも、実写の場合はどんなに詳細な絵コンテを描いても、被写体となる人やロケーションの場所などのコンディションの影響を受けて、偶然の要素が加わってきます。ところがアニメーションの場合、そのような影響は一切受けず、画面に映される要素を100%コントロールすることができます。
そのことは、アニメーションの大きなメリットですが、逆に空想力、発想力がフルに求められることにもなります。絵のトーンをどのように設定するか、ナレーションを男声にするのか、女声にするのかということを含めて、試行錯誤を繰り返しながら、普遍性のある映像を作りあげることを目標に作業を進めていきました。
小宮:そのあたりは、Slackでのやりとりを含めると、数百回にも及んだと思います。ただ、最初のころに感じた、心地よいキャッチボールのような感じで非常にスムーズに話が前に進んでいった感覚がありましたね。
出前館のわくわくする未来を多くの人と共有したい
内藤:動画の初披露は、外部エンジニアを対象にした技術カンファレンスの場だったそうですね。ご反響はいかがでしたか?
小宮:「出前館のミッションとビジョンをわかりやすく理解できた」という声が多く、とても好評でした。そうした反応に接して、これまで表現できていなかったところに手が届いたなという実感がありました。その後、株主総会でも披露されましたし、配達員さんの採用を担当している部署からも「ぜひこの動画を使いたい」という要望を受けました。
2024年6月には、求人サイトの大幅なリニューアルを行ったんですが、もちろん、そこでも目のつくところに動画を掲載しています。キャリア採用、新卒採用を合わせて求人職種は50種以上に及ぶんですが、動画が伝えている内容は会社のミッションとビジョンという普遍性のあるものなので、どの職種にも有効なメッセージになっていると思います。
役員陣とは、ナレーションの言葉選びの段階から頻繁に意見交換をしてきましたが、出来上がった映像を一緒に見て「いいものができたね」という感想をもらいました。
熊谷:貴社代表や社内全体からもご好評いただき、とても嬉しいです。今後も動画制作する際は、ぜひご協力させてください!
今回、株式会社出前館様と制作させていただいた映像は、上記のものです。
当インタビューや制作した動画をご覧になりCINEMATO(シネマト)にご興味を持っていただけた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。ラフなご相談からでも構いません。ご連絡をお待ちしております。