動画制作の相談を受けていると、「頭の中では動画の完成形が見えている」という声をよく聞きます。
しかし実際には、以下のような問題が頻発します
- 動画制作会社に意図が伝わらない
- チーム内で動画のイメージがズレる
- 動画の撮影当日に「思っていたのと違う」と気づく
実はこうした動画制作のトラブルの多くは、絵コンテが曖昧なまま進んだ動画制作プロジェクトで起きることです。
動画制作における絵コンテは、単なるイラストの下書きではありません。
誰に向けて、何を伝え、認識をどう動かすのかというマーケティングの意図を、映像として翻訳するための動画の設計図です。
YouTube動画、企業プロモーション、SaaSや製造業の技術紹介、採用動画など、ジャンルを問わず「伝わらない動画」が生まれる原因は、動画制作の設計段階で考えが言語化・可視化されていないことにあります。
「絵が描けない」「初心者には難しい」と感じる方も多いですが、良い絵コンテに必要なのは画力ではありません。
棒人間や図形でも、動画で伝えるポイントが整理されていれば十分です。
本記事では、2,000件以上の動画制作に関わってきたCINEMATOが、現場で本当に機能する絵コンテの考え方と作り方を、初心者にも分かる形で解説します。
目次
そもそも動画制作における「絵コンテ」とは?
動画制作における絵コンテとは、完成する動画の流れや構成を、視覚的に整理した動画の設計図のようなものです。
動画の撮影や編集に入る前の段階で、映像・構図・カメラワーク・セリフ・ナレーション・動き・秒数などを一枚一枚のカットに落とし込み、動画制作の関係者全員の認識を揃えるために作成します。
YouTube動画、企業プロモーション、CM、広告動画、アニメーション動画。ジャンルが何であれ、クオリティの高い動画制作には、この工程がほぼ必ず存在します。
ただ、私たちCINEMATOが考える絵コンテは、「動画の撮影前に作るお作法的な資料」ではありません。
私たちは動画制作を、「人の認識を変え、その先の行動や現実を変えるための手段」と定義しています。
その前提に立つと、絵コンテとは単なる作業工程ではなく、この動画で「誰の、どんな認識を、どこまで動かすのか」を決め切るための、極めて重要な意思決定の場になります。
絵コンテ=動画の設計図(役割と重要性)
絵コンテの最大の役割は、頭の中にある動画の完成イメージを「他人にも伝わる形」に変換することです。
例えば、「勢いのある動画にしたい」という要望ひとつ取っても、動画制作の現場では解釈がいくつも分かれます。
- カメラが激しく動く映像なのか
- カットがテンポよく切り替わる動画の編集なのか
- 被写体自体が動き回る構成なのか
言葉だけでは、ほぼ確実にズレます。そしてそのズレは、動画の撮影後や編集後に「なんか違う」という形で表面化します。
絵コンテでは、構図・動き・カメラワーク・秒数を具体的な形に落とし込むことで、こうした曖昧さを事前に潰していきます。
CINEMATOの動画制作の現場では、さらに一歩踏み込みます。
商材が持つ空気感・熱量・信頼感、製造業の技術動画であれば内部構造や仕組みの理解ポイントなど、テキストだけでは伝えきれない「見えない価値」まで、絵コンテ段階で整理します。
これをやらないまま進めると、映像はきれいでも「伝わらない動画」になりやすい。私たちが絵コンテを重視する理由は、まさにここにあります。
構成表(シナリオ)や字コンテとの違い
動画制作の現場では、「構成表」「シナリオ」「字コンテ」「絵コンテ」と、似た言葉が頻繁に使われます。ですが、それぞれの役割ははっきり分かれています。表にまとめると以下のような違いがあります。
| 種類 | 形式 | 主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| 構成表 (シナリオ) |
文章のみ | 動画全体のストーリーやメッセージの骨格を決める。 「誰に・何を・どう伝えるか」の戦略設計図。 |
| 字コンテ | 文字のみ | 構成表をカットごとに区切り、セリフや秒数を割り振ったもの。 インタビュー動画など動きが少ない動画に向く。 |
| 絵コンテ | 絵 + 文字 | 字コンテに「構図・動き・カメラワーク」の視覚情報を加えたもの。 認識のズレを防ぐための完成予想図。 |
特に私たちが重視しているのが、動画特有の「時間軸の設計」です。
例えば、動きに緩急をつけることで生まれる心地よさや、カットのテンポによって生まれる集中力。こうした要素は、文字だけではほぼ共有できません。絵コンテにすることで初めて、視聴者が感じる「間(ま)」やリズムまで含めた設計が可能になります。
作成する最大のメリット(認識のズレ防止・撮影コスト削減)
実務的な視点で見たとき、動画制作で絵コンテを作成する最大のメリットは、認識のズレを防ぎ、無駄なコストを発生させないことです。
特にBtoB、SaaS、製造業向けの動画制作では、専門的な内容や複雑な構造を扱うケースが少なくありません。
もし絵コンテなしで進めてしまい、「技術的に間違ったCGを作ってしまった」「意図と違うカットばかり撮ってしまった」となれば、撮り直しや作り直しに多大な時間と費用がかかります。
絵コンテという設計図があれば、動画の撮影前の段階で「このカットは3秒で足りるか」「この表現で誤解は生まれないか」といった確認が可能になります。
つまり絵コンテは、動画クリエイティブの品質を高めるだけでなく、ビジネス上のリスクを管理するためのツールでもあるのです。
良い動画制作は、良い絵コンテから始まる。これは、数多くの動画制作の現場を見てきた中で、私たちが確信している事実です。
絵コンテを書く前の「3つの準備」【ここが最重要】
絵コンテというと、「どう描くか」「フォーマットは何がいいか」といった話に意識が向きがちですが、実際の動画制作の現場で成果を分けているのは、描く前の準備がどこまで詰められているかです。
私たちCINEMATOがこれまで多くの動画制作に関わる中で感じているのは、「うまくいかなかった動画」は、ほぼ例外なくこの準備段階に原因がある、ということです。
逆に言えば、この3つさえ整理できていれば、絵コンテの完成度は自然と一定以上に引き上がります。
1. 目的とターゲット(ペルソナ)の明確化
まず最初に決めるべきなのは、この動画制作で、何を起こしたいのかです。
意外かもしれませんが、「動画を作りたい」という相談の中で、ここが明確になっていないケースは少なくありません。
- 認知を広げたい動画なのか
- 問い合わせや資料請求につなげたい動画なのか
- 採用で“空気感”を伝えたい動画なのか
動画制作の目的が違えば、構成も、カット割りも、絵コンテの正解も変わります。
加えて重要なのが、誰に向けた動画なのか(ターゲット・ペルソナ)です。
同じ内容でも、「初めてサービスを知る人」「比較検討している人」「専門知識を持っている人」では、動画として刺さる表現がまったく違います。
私たちの現場では、「この1カットは、誰のどんな不安を消すためのものか」を言語化できない場合、そのカットは一度立ち止まって見直します。
目的とターゲットが定まると、絵コンテの一つひとつに判断軸が生まれます。
2. 配信媒体と尺(長さ)の決定
次に必ず決めるのが、どこで、どんな状況で見られる動画なのかです。
動画制作では、動画の配信媒体によって“正解の形”が大きく変わります。以下に、配信媒体と推奨する尺、絵コンテの作成のポイントをまとめました。
| 配信媒体 | 推奨する尺 (長さ) | 絵コンテ作成のポイント |
|---|---|---|
| YouTube | 数分 〜 10分以上 | 飽きさせない構成と、最後まで見てもらうためのストーリー設計が重要。 |
| Webサイト (LP埋め込み) |
30秒 〜 2分 | 訪問者の離脱を防ぐため、冗長な説明を省き、要点(CV)へ誘導する。 |
| SNS広告 (ショート動画) |
15秒 〜 60秒 | 最初の3秒で結論やフック(興味付け)を持ってくる構成にする。 |
| 展示会 (サイネージ) |
15秒 〜 30秒 | 音がなくても伝わるように、文字を大きくし、要点をループさせる。 |
この前提を無視したまま絵コンテを書くと、後から「長すぎる」「情報が入らない」「テンポが合わない」といった修正が必ず発生します。
尺(動画の長さ)を決めることは、単なる時間調整ではありません。情報量と集中力の設計そのものです。
私たちは絵コンテを作る前に、「この動画は何秒で終わるべきか」を必ず言い切るようにしています。
3. シナリオ(台本)の完成
最後に、そして最も重要なのが、動画のシナリオ(台本)を完成させてから絵コンテに入ることです。
「絵コンテを描きながら考えよう」とすると、途中でセリフや構成が変わり、修正のたびに全体が崩れていきます。
動画のシナリオの段階では、「何を、どの順番で伝えるのか」「どこで共感を取り、どこで理解を進めるのか」を、文章で整理します。
CINEMATOの動画制作の現場では、シナリオがシンプルな動画ほど、絵コンテも強いという傾向があります。
伝えたいことを詰め込みすぎず、「このカットで伝えるのはこれだけ」と割り切る。その判断ができているかどうかが、絵コンテの分かりやすさに直結します。
この3つの準備が整っていれば、絵コンテ作成は「悩む作業」ではなく、決まったことを整理して可視化する作業に変わります。
【5ステップ】初心者でも迷わない絵コンテの書き方・作り方
ここからは、私たちCINEMATOが実際の動画制作の現場で行っている手順をベースに、初心者の方でも迷わず進められる絵コンテの書き方を、5つのステップに分けて解説します。
「絵コンテ=絵を描く作業」というイメージを持たれがちですが、ビジネス向けの動画制作においては、むしろ“情報を整理し、判断を確定させていく作業”に近いものです。
この順番を守るだけで、「途中で手が止まる」「何度も描き直す」といった無駄が、かなり減ります。
STEP1:フォーマット(枠)を用意する
まず最初に行うのは、絵コンテを書くための枠を用意することです。ここを飛ばして白紙から始めると、ほぼ確実に迷います。
絵コンテのフォーマットに、厳密な正解はありません。ただし、最低限以下の情報が入っていれば、動画制作の現場では十分機能します。
- カット番号
- 画面(絵・イメージ)
- セリフ/ナレーション
- ト書き(演出・動き・カメラワーク)
- 秒数
私たちの現場では、ExcelやGoogleスプレッドシートでラフを作り、PowerPointで清書するという流れをよく使います。
大切なのは、「きれいなフォーマット」よりもあとから直しやすいことです。
STEP2:必要なカット割りを決める
次に、シナリオを見ながら動画全体をどんなカット(場面)で構成するかを決めます。
このとき意識しているのは、“意味の切れ目”でカットを割ることです。
- 課題を提示する
- 解決策を示す
- 未来の姿を見せる
このように、役割が変わるところでカットを分けます。最初から細かく割りすぎる必要はありません。
むしろ最初は、「この動画は何カットくらい必要か」を把握するくらいで十分です。カット割りは、後からいくらでも調整できます。
STEP3:セリフ・ナレーション・BGMを書き込む
カットが決まったら、各カットに音の情報を書き込んでいきます。
ここで重要なのは、「映像で伝えること」と「音で補足すること」を分けて考えることです。
- 映像で理解できるのに、ナレーションで説明しすぎていないか
- 音だけ聞いても、最低限の流れが分かるか
私たちはこの段階で、「このナレーション、本当に必要ですか?」と、よく自問します。
情報を足すより、削る判断のほうが難しく、そして動画の質を左右します。
STEP4:ト書き(演出指示・秒数)を入れる
ここが、“ただの絵コンテ”と“現場で使える絵コンテ”を分けるポイントです。
ト書きには、「カメラは寄りか引きか」「画面は動くのか、静止か」「テロップはいつ出るのか」といった、判断を迷わせない情報を書きます。
特に重要なのが、秒数です。
「だいたいこのくらい」ではなく、「このカットは3秒」「ここは少し間を取って5秒」と、仮でもいいので決めておきます。
秒数が入るだけで、動画全体の設計が一気に現実的になります。
STEP5:絵(イメージ)を描き入れる
最後に、各カットの視覚イメージを描きます。
ここで、「上手に描こう」と考える必要はありません。私たちの現場でも、棒人間、四角と丸、矢印で描かれた絵コンテはいくらでもあります。
大事なのは、以下の3点が分かることです。
- 何が画面の中心か
- どこを見てほしいのか
- 動きがあるのかないのか
これが一瞬で分かれば十分です。
もし描くのが難しければ、参考画像や動画のキャプチャを貼り付けて「このイメージに近い」と書くだけでも問題ありません。
絵心がなくても大丈夫!クオリティを上げる3つの裏技
ここまで手順を見てきて、「理屈は分かったけど、やっぱり絵を描くのは不安」そう感じている方も多いと思います。
正直に言うと、その感覚はかなり健全です。私たちCINEMATOの動画制作チームでも、全員が“絵が得意な人”というわけではありません。
それでも現場が回っている理由はシンプルで、絵コンテに求めているのは“画力”ではなく“意思疎通の精度”だからです。
ここでは、実際の動画制作の現場でよく使っている、「これだけで一気に伝わりやすくなる」3つの裏技を紹介します。
「棒人間」や「丸と矢印」で動きを伝える方法
絵コンテで一番重要なのは、人物の表情や服装ではありません。
- 誰が
- どこにいて
- どちらに動くのか
この3点が分かれば、動画制作の現場ではほぼ問題なく進行できます。
私たちの絵コンテでも、「人物は棒人間、顔は丸、動きは矢印」というケースが普通にあります。
むしろ、描き込みすぎた絵よりも、構造が一瞬で理解できる図の方が、カメラマンや編集者にはありがたいというのが実感です。
「きれいに描く」より「誤解なく伝える」。この基準に切り替えるだけで、絵コンテのハードルは一気に下がります。
参考画像やフリー素材の「貼り付け」を活用する
どうしてもイメージが固まらないときは、描かない、という選択をします。
実際の動画制作の現場では、フリー素材サイトの写真、参考動画のキャプチャ、Webサイトの画面スクリーンショットをそのまま絵コンテに貼り付けることは珍しくありません。
「このカットは、だいたいこの雰囲気」「構図はこの動画に近い」そう書き添えるだけで、手描きよりも正確に意図が伝わることも多いです。
特にクライアントや社内メンバーとの共有では、共通イメージを一瞬で作れるという意味で、非常に効果的です。
【最新】画像生成AIや絵コンテ作成ツールを活用する
最近は、画像生成AIやデザインツールの進化によって、絵コンテ作成の選択肢がかなり広がっています。
テキストで「オフィスでPCを操作するビジネスマン」と入力するだけで、それらしいイメージをすぐに用意できます。
私たちも、世界観のすり合わせ、初期ラフの共有、クライアントとの認識合わせといった用途では、AI生成画像を補助的に使うことがあります。
ただし、ひとつだけ注意点があります。
AIが出した絵を“正解”にしないことです。
あくまで、「方向性を共有するための仮イメージ」として使い、細かい調整や判断は人間が行う。この距離感で使うと、AIは絵コンテ作成の強力な味方になります。
絵コンテ作成におすすめのツール・テンプレート
絵コンテ作成というと、「専用ソフトが必要なのでは?」と思われがちですが、実際の動画制作の現場はもっと現実的です。
私たちCINEMATOがツール選定で最も重視しているのは、“誰が見ても分かり、すぐ直せるか”という一点です。
どれだけ高機能なツールでも、「クライアントが開けない」「社内で修正しづらい」「更新のたびに手間がかかる」これでは絵コンテとして機能しません。
ここでは、実際に動画制作の現場でよく使っているツールを、「なぜそれを選んでいるのか」という視点で紹介します。先にツールの一覧を表にまとめると以下になります。
| ツール | 向いている用途・動画 | メリット |
|---|---|---|
| Excel Googleスプレッドシート |
説明動画、マニュアル、 BtoBサービス紹介 |
情報(セリフ・秒数)を一覧で管理しやすい。 修正や行の入れ替えが簡単。 |
| PowerPoint Googleスライド |
WebCM、プロモーション、 ブランディング動画 |
1枚のスライド=1カットとして使える。 画像配置やレイアウトの自由度が高い。 |
| Canva iPadアプリ |
世界観重視の動画、 SNS向け動画 |
デザイン性が高く、イメージを共有しやすい。 テンプレートが豊富。 |
手軽さNo.1:Excel(エクセル)・PowerPoint(パワーポイント)
最も使用頻度が高いのが、ExcelとPowerPointです。理由はシンプルで、ほぼ全員が使えるからです。
Excel(Googleスプレッドシート)は、「カット番号」「セリフ・ナレーション」「秒数」といった情報を一覧で管理しやすいのが強みです。
特に、説明動画、マニュアル動画、BtoB向けのサービス紹介など、情報整理が重要な動画では、Excelの相性が非常に良いです。
一方、PowerPoint(Googleスライド)は、1スライド=1カットとして使えるため、構図や雰囲気を直感的に伝えたい場合に向いています。
私たちの現場でも、「構成整理・初稿 → Excel」「クライアント共有・合意形成 → PowerPoint」という使い分けをすることが多くあります。
クリエイティブ向け:Canva・iPadアプリ
デザイン性や世界観の共有を重視したい場合は、Canvaが非常に便利です。
テンプレートが整っているため、絵が描けなくても画像を配置するだけで、それなりに“見える資料”が完成します。
ブランディング動画やプロモーション動画など、完成イメージを重視した案件では、Canvaが活躍します。
また、アイデア出しや初期構想の段階では、iPad+Apple Pencilでラフを描くケースもあります。
この段階では、きれいさよりも思考を止めずに描けるかどうかを優先します。
すぐに使える無料テンプレートの活用
「フォーマットを作るところから面倒」という場合は、無料の絵コンテテンプレートを使うのも、立派な選択です。
テンプレートの良いところは、「書き漏れが減る」「初心者でも迷いにくい」「作業スピードが上がる」という点です。
ただし注意したいのは、テンプレートに合わせるのではなく、目的に合わせて崩すこと。
動画の目的や媒体によって、不要な項目は削る、足りない項目は足す。この調整をすることで、「使える絵コンテ」に変わります。
プロが教える!失敗しない絵コンテ作成のポイント
ここまでの工程を踏んでいても、絵コンテでつまずくポイントは、だいたい決まっています。
私たちCINEMATOがこれまで多くの動画制作を見てきた中で、「完成してから後悔するパターン」は、ほぼ同じところで起きています。
ここでは、現場で本当に多い失敗をもとに、これだけは押さえておいてほしいポイントを整理します。
1カットは「3秒〜5秒」を目安にする
絵コンテで最も多い失敗のひとつが、1カットが長くなりすぎることです。
絵コンテ上では、「この説明は大事だから、少し長めで」と思っていても、実際の動画になると一気にテンポが落ちます。
特にWeb動画やYouTube、広告動画では、視聴者は少しでも“間延び”を感じると離脱します。
私たちの現場では、基本の目安として1カット=3秒〜5秒を置いています。
もちろん、インタビューや感情を伝えるシーン、余韻を持たせたい場面では、あえて長く取ることもあります。
ただその場合も、「なぜここは長いのか」を絵コンテ上で言語化するようにしています。
「詰め込みすぎ」はNG!1カット1メッセージ
もう一つ、かなり多いのが、1カットに情報を詰め込みすぎてしまうケースです。
特に、サービス紹介や技術説明、BtoB向け動画では、伝えたいことが多くなりがちです。ですが、動画で1カットで理解できる情報量には限界があります。
私たちが絵コンテを見るときに必ず確認するのが、「このカットで、何を一つ伝えたいのか」です。
それが一言で言えない場合、ほぼ確実に情報を詰め込みすぎています。
結果として、「視聴者の理解が追いつかない」「印象に残らない」「何が言いたい動画か分からない」という状態になってしまいます。
必ず「音読」をして尺のズレを確認する
最後に、意外と見落とされがちですが、これをやるかどうかで完成度が大きく変わるポイントです。
それが、セリフやナレーションを実際に声に出して読むこと。
文章で見ると短く感じても、声に出すと想像以上に時間がかかることは珍しくありません。
私たちの現場では、「仮ナレーションをスマホで録音」「ストップウォッチで秒数を計測」という作業を、絵コンテ段階で行います。
このひと手間を省くと、編集段階で「尺に入らない」「早口で不自然になる」といった修正が発生しがちです。
逆に言えば、絵コンテ段階で音読まで終わっている動画は、完成までが非常にスムーズです。
動画制作・絵コンテに関するよくある質問(Q&A)
ここでは、動画制作や絵コンテについて、実際に相談や打ち合わせの中でよく聞かれる質問をまとめました。
これから初めて動画制作に関わる方が、不安に感じやすいポイントでもあります。
Q. 絵コンテ作成にかかる時間はどれくらいですか?
A. 動画の内容や目的にもよりますが、短い動画であれば数時間〜1日程度が目安です。
例えば、30秒〜1分のWeb動画、YouTube用の解説動画、サービス紹介や採用動画であれば、シナリオが固まっている状態なら、半日ほどで絵コンテまで完成することもあります。
一方で、CMやブランディング動画、アニメーション動画、関係者が多いプロジェクトの場合は、確認や修正を含めて数日〜1週間程度かかることもあります。
ここで大切なのは、「早く作ること」よりも後工程がスムーズになるかどうかです。
絵コンテに時間をかけた案件ほど、結果的に撮影・編集・修正が短時間で終わる傾向があります。
Q. 制作会社に依頼する場合でも絵コンテは必要ですか?
A. はい、制作会社に依頼する場合でも、絵コンテは非常に重要です。
「プロに任せるから大丈夫」と思われがちですが、実際には、発注側の意図や優先順位が曖昧なまま進むことで、「イメージと違う」というズレが起きやすくなります。
理想的なのは、「発注側でラフな絵コンテや構成を用意」→「制作会社がプロ視点でブラッシュアップ」という進め方です。
上手な絵は必要ありません。考えを整理した絵コンテがあるだけで、打ち合わせの質は大きく変わります。
Q. アニメーション動画の場合の違いはありますか?
A. 基本の考え方は同じですが、アニメーション動画では絵コンテの重要度がさらに高くなります。
アニメーションは、「撮影してから調整する」という逃げ道がなく、動き・タイミング・構成がすべて設計次第という特徴があります。
そのため、キャラクターの動き、画面切り替え、テロップや効果音のタイミングなどを、実写よりも細かく絵コンテに落とし込みます。
アニメーション動画で「途中で方向性が変わる」と、修正コストが一気に跳ね上がります。だからこそ、アニメーションほど、絵コンテ段階での詰めが重要になります。
まとめ:良い絵コンテが良い動画を作る
動画制作において、絵コンテは「あれば安心な資料」ではありません。動画の成果を左右する、設計そのものです。
この記事でお伝えしてきた通り、
- 絵コンテに必要なのは画力ではなく、意図の整理
- 書く前の準備(目的・媒体・シナリオ)が8割を決める
- 手順を踏めば、初心者でも十分に実務で使える
- ツールやAIは“補助”として使うのが正解
これらを押さえるだけで、動画制作の失敗確率は大きく下げられます。
私たちCINEMATOが現場で何度も感じているのは、良い絵コンテがある動画ほど、現場が静かに、そして速く進むということです。
無駄な修正が減り、判断に迷う時間が減り、本当に考えるべきところにエネルギーを使える。
それが、良い絵コンテがもたらす一番の価値です。
完璧な絵コンテを目指す必要はありません。
まずは、「この動画で、誰に、何を伝えたいのか」を整理するところから始めてみてください。
その一枚が、伝わる動画制作への、確かな第一歩になります。
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